その夜は、うまく眠れなかった。
帰ってきた旦那に事情を話し、借金について債務整理について弁護士について調べ、本人がまだ語ってはいないけれど借りてそう滞納してそうな項目をピックアップした。
詰め込んだ情報が頭の中を駆け巡り、目を閉じると文字と数字の世界に落ちていくようだった。

あの電話の後も、少しだけゆたかくんと話をした。
でも、わかったのはゆたかくんがポンコツだということだけだった。
水道電気ガスに件の家賃も滞納しているが、滞納額が明確なのは家賃だけ。
水道電気ガスは全て、いつから払ってないのか、金額はいくらなのか、そもそも払い込み用紙はどこにあるのかさえ不明。
ガスに至ってはすでにかなり前から止まっているという。
他の借金や何かの滞納については、あるかもしれないしある可能性は高いけどどれだけ頭をひねっても「覚えてない」の一言しか出ず。
借金の経緯にいたっては、本人もうろ覚えで曖昧だったが、今年の頭にサラ金にけっこうな額の借金がある状態で200万の車を全額残価型クレジットで購入したらしい。
そしてその後に、複数あったサラ金と1枚だけ持っていた楽天のクレジットカードをおまとめローンでひとつにして、それによって空いたクレジットカードの残高をあっという間に使い切ったという。
この時点で、まだおまとめしたローンの支払い1回目も始まってないのに、まとめてなくなったはずの楽天クレジットカードの残高は元通りになっているわけだ。
これは、債務整理が厳しくなる借り方だ。

ゆたかくんの口からは、幾度か「自己破産」の単語が出た。
明言してはいないが、いざとなったら自己破産があると思っているんだろう。
でも、2カ月ほどで一気に借金を数百万単位で増やし、しかもおまとめして空いた枠を一瞬で使い切って自己破産なんて、免責が下りるわけがない。
バカでもわかる。
故意犯だ。
始めから、好きなことして使い切って自己破産するつもりだったとしか思えない。
擁護したくもない姑息さだ。

会社の先輩からは去年2回に分けて30万借りているが、この返済期限は去年の12月だったそうだ。
今は6月。
半年経過しているが、何の連絡もしていないらしい。
友達に4万借りたのは先月の話だという。
スロットに行って負けて生活費がなくなったのを借りたという。
つまりつい先月までスロットをしていたというわけだ。
母に借りた20万はその出来事の少し前の話らしいから、そこで使ったスロット資金はもしかしたら母からのお金から出ていたのかもしれない。
その時も名目は家賃だったというが、結局今でも滞納しているところを見るとちゃんと目的通り支払わなかったのは明々白々だった。